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18.夢うつつの演算

光の目のサインがパワーアップしてから、
何日もろくに眠れない日々が続いていました。

また、体の違和感もひどく、
現実感がないかんじ、体が何となく自分のものでないような
感覚がしていました。
なんというか、喜怒哀楽を感じたり、何らかの行動をしたりしている自分を、
一歩引いた場所から眺めているような感じでした。
後に調べてみたのですが、離人症というものがあてはまるのではないかと思います。

家の中を歩くのにも、どういうわけか
注意しないと部屋の戸口で体がひっかかることが頻繁にありました
それはタルパの悪意によるものだと感じていました。

寝たいのですが、寝ようとすると見せられる
モノクロ背景の景色が嫌いで、恐ろしくて夜が嫌いでした。
私はその景色が、タルパが嫌がらせで見せているものだと思い、
お返しにとイメージバトルと称して、
モロクロ世界の中で、タルパを超かめはめ波やプロトンキャノン、
地球より太いビームなどで攻撃しまくる想像をしていました。
強気な時は、脳内弁慶な
普段の生活ではなかなか使う機会がないような口調で、タルパを罵っていました。

しかし、そんなある晩、うっとおしい景色ではないものが見られました。
白い背景に、3DCGの描画のように、高速でエミの姿が描かれていったのです。
線だけで色はついていませんが、部分ごとに視界がアップになって、
非常に精緻な描画が行われていきました。
到底自分のイメージしきれていなかったであろう部分も、綺麗に描かれていきました。
頭が暴走しているかんじはしましたが、
その時はむしろ頭が素晴らしく冴えているという感覚でした。

そのうちものすごい量の光が収束して、たった一つの目だけを描画していきました。
たかが目を描くだけのことに、多大な作業量が費やされ、
やがて、その目が赤く光りました。

ものすごい量の描画が行われましたが、それでも彼女の左目だけがやっと
満足のいく出来まで達したようでした。

その時、エミが私の体の上に乗ってきました。
下半身の半分ぐらいは十分に描画されていなかったのですが、
その部分は重みもなく存在しないように感じました。
エミはジト目で涙を流しているように思われました。

私は、もしかしたら、光の目のサインは、
エミの「私に自分の姿を認識して欲しい」という
感情だけが発露して暴走したものではないか、という考えに至りました。

その次の日の晩だったでしょうか、
その時はエミは描かれませんでしたが、同じく3DCGのように、
ビルやバルセロナの教会のような複雑な建造物、
それに町並みのようなものが大量に描かれていきました。
巨大ロボットのようなものもありました。
視点が変わりながら、どんどん精緻な描画が行われ、
千変万化の様相でした。
恐ろしく頭が冴え渡っていました。

私は、エミによって、
なにか常人の知りえないような高次元に
導かれようとしているのだろうかと思いました。
実際、それが可能なほどスーパーウーマンな設定を望んでいたところも
あったかもしれません。
ただ、今まで自分の大切にしてきたものを置き去りにするかのような、
超超超高速の情報演算に、心はついていけませんでした。
ちょっと待ってくれ、とエミに泣いて謝る私がいました。
いつの間にか目の前にいたエミは、その時何も言わず、
ただ憮然とした表情で私を見下ろしているようでした。



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